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失意
埃のかぶった思い出をバックに詰め込み
列車を乗り継いで
見知らぬ駅に降り立った
小雨のけぶる街は
しんと静まり
そこははとない寂寥感が満ちている
探し求めていたものは
理不尽な手によって摘み取られ
一縷の望みさえ消え失せた
もはや失うものは何もない
燻る火種をかき集め
新たな炎を燃やすため
足元をじっと見詰める
離婚
実家に帰るという妻の背は
私の、どんな言葉もはねつけている
テ-ブルの上には妻の印の押された
離婚届の用紙が置いてある
二日前の喧嘩の際に
二人とも頭のどこかで早く結論を出したくて
お互いに言ってはならない言葉を
望んで投げつけ合ったように思う
だが
燻っていた思いをさらけ出した時
あまりの衝撃に
二人は言葉を失った
こうなることは分かっていたはずなのに…
でも、
心を映す鏡がないように
本当に大事なものは見えない
これで良かったのだろうか…
少しずつの今日
目覚まし時計に起こされ
野菜ジュ-スとト-スト2枚の朝食をとる
テレビのニュ-スを見ながら
慌ただしく身支度をして家を出る
「いつもの朝」
そう、「いつもの朝」
でも、「いつもの朝」の「いつも」は明日はない
少しずつ違う今日を生きよう
未来
いくつもの月日を越えて
机の引き出しの中にしまった夢は
反故になった約束のように
意味を失っているけれど
今日と明日の境目にある「未来」というペ-ジに
自分の言葉で書いた予想図は
「未来」を「今日」にする
カ-テンの外の未来への道を
NAVIに積み込んで
走り出そう
幸せになれよ
控えめに白い花をつけた
あなたとの恋の思い出は
今でも淡く滲んでいる
結果的にあなたの元を去ることになった私に
「幸せになれよ」
横を向きながら言ったあなたの優しさに
今でも胸が締め付けられる
「ありがとう。私、頑張るから、優斗もね」
二人で交わした約束を
私はまだ果たせていない
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