伝書蝶

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その日の夕方また蝶が現れた。  「まじかよ。」  面倒くさいと思いつつ楽しんでいる私がいた。  雪佳さんとの文通はしばらく続いた。学校のこと、将来の夢、家族のこと…いろんなことをはなした。  「楽しい!いつか雪佳さんに会いたいなぁ」  勇気を出して蝶のこと、そして住所を書いた。  けれど、次の日蝶は現れなかった。  3日後。雨の夜、蝶は現れた。でも虹色ではなく黒だった。  「どゆこと?別もの?」  触れると蝶は壊れた。手紙にならなかった。私の頭に最悪がよぎった。  「嘘…でしょ?」  いつになく焦っている自分がいた。怖くてならなかった。  数日後私宛の手紙が届いた。どうやら私の予感は当たってしまったらしい。ご家族から送られたものだった。そこには『ありがとう。雪佳の友達になってくれて。最後にあなたと話せて幸せだったと思います。』とあった。  「…会いたかった。」  衝動にかられ手紙を書いた。思いを込めて。  「どうか届きますように。」    また夢を見た。そこにはたくさんの蝶と1人の女の人。ありがとう、そういった気がした。雪佳さんだったのだろう。  のちのち咲那から聞いた噂話に、死を目前にしたものの前に現れる蝶の話があった。  「なるほどね。せつないね…」  「珍しい!莉緒が興味をしめしてる!  不可思議現象は信じないんじゃないの?」  「なんででしょうね。」  あの蝶のことがあって、この世に不可思議現象があってもいいような気持ちになった。誰かを救うなら。
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