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二時間目の数学の授業が終わり、休み時間になった。教室が移動にならないので、みんな思い思いの過ごし方をしている。女子校の休み時間は意外と騒がしい。
私は前の席に座っているミサキの背中を指でつついた。彼女は友達第一号。プリントが配られた時などに、振り返りながらこの学校について色々教えてくれた。
ミサキはちょっと大人っぽい雰囲気の子、そして無類の雑誌好き。この時間は大抵、肘をついてファッション系の雑誌を読んでいる。
ミサキが振り返った。
「なに?レナ」
「ねえ、ミサキはもうそれ読み終わった?」
「だいたい読んだよ」
「じゃあ私のと交換しない?」
「いいよいいよ」
私は笑顔を作って、テレビ番組の雑誌を彼女に手渡した。
私はよくこうやってクラスメイトと物々交換をする。お小遣いを節約する為にやっている子いるけど、私は違う。私はお金にはそんなに困っていない。その辺のお店で売っている物なら、正直な話、大抵手に入れることができる。じゃあなぜ物々交換をするかと言うと、全てはコミュニケーションの為だ。
コミュニケーションを取る事でしか手に入らないものがある。人間関係やクラスの中での立ち位置といったものだ。それらに加えて、私が今最も欲しいもの、それは情報だ。それもこの学校に通う子達の生の言葉。
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