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「現状については私が説明させて貰おう、何しろこの事態の発端は私だからな」
ミリアリアはそう前置いた後にアイリスとの出逢いから現在に至るまでの経緯を説明し、救出された一同は予想の斜め上を行く話の展開に驚きの表情を浮かべた。
「……で、ではこのダンジョンはミリアリア殿を追手から護る為に、造られたと言う事なのですか?」
「……その、まあ、そう言う事になるな」
ミリアリアの話を聞いたミランダが驚きの表情と共に確認の問いかけを行うと、ミリアリアは頬に仄かな朱を灯しながら肯定し、一方のアイリーンは聞かされたダンジョンの構造や陣営襲撃作戦のエグさに半ばドン引きしながら口を開いた。
「そ、それにしても凄まじいダンジョンですわね、それに魔龍を同盟者(フェデラートゥス)とすると言うのも凄まじい話ですわね」
「……道理であの時ロジナの屑どもがあれだけ右往左往していた筈です、そこまでエグい襲撃を仕掛けていたんですね」
アイリーンに続いてクラリスが引きつりかけた表情で感想を述べ、それを聞いていたアイリスはミランダ達とアイリーン達を見ながら口を開く。
「あたし達の側から説明出来る事は以上よ、貴女達は魔王のあたしに助けられた訳だけどその事を恩に着せるつもりは毛頭無いわ、このダンジョンは基本的に来る者拒まず去る者追わずよ、暫くはここでゆっくりと身体と心を休め、それから自分達の身の振り方を決めて、このダンジョンに滞在するも良しだし、友好国のラステンブルク伯国を頼るも良し、どんな選択を選んでもあたしはそれを尊重するわ」
「……ほ、本当にそれで宜しいのですか?」
アイリスの告げた魔王の物としては余りに鷹揚で寛大な話の内容にアイリーンは戸惑いの表情を浮かべながら確認の問いかけを発し、アイリスはゆったりと頷いた後に傍らのミリアリアを見ながら言葉を続けた。
「……あたしは基本的に彼女を護れればそれで構わないのよ、だから彼女の安全に関わらない事ならどうなろうと構わないわ、ただし、もしも彼女を傷つけ様としたりする選択を選んだなら」
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