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激情が去り、冷静になったのは日が暮れる頃だった。
今の状況を考えてみると、2つの可能性しか浮かばない。
1つは長い夢であるということ。
昔からよく夢を見たが、日によっては夢の中で数日が経過しているときだってあった。
夢の中で夢と気づいたときだってあった。
妙にリアルだし体感時間も長いけれど、何度考えても夢というのが一番妥当だ。
でも。
でも、もう1つ可能性がある。
わたしは、狂ってしまったのじゃないだろうか。
気づかないうちに鬱屈を抱えていて、あるいは何かのはずみに頭を怪我でもして、正気を失ったのじゃないだろうか。今見えているものが現実かどうかは誰も判定ができない。自分が見ている世界は全部幻覚だとしたら、どんな状況だって存在しうる。
本当なら夢よりも最悪な結末だ。しかもわたしは、どちらなのか判定できない。
窓に映る夕焼けが絵のように綺麗だ。
これも幻覚かもしれない。感じるはずのない悪寒を覚える。
ー風を感じれば、少し冷静になるかな。
窓にゆっくり近づいた。
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