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「ラーメン二つで葱とコーン二つとも乗せて」
「あーいよ」
実琴はおしぼりで手を拭くと、水を二割ぐらい飲んだ
「治って良かったねー謎現象」
「うん………」
あの後、先輩が出て行ってしばらくしたら治っていた。 何だったんだろう。あれ
「しかし今日はお客さんあんまいないね。いつもはいっぱいでみんな塩タンメン頼むのに」
「そりゃみーんなラーメンオタクとか呼ばれちまってる人達ですな。 なんか人気なんすよ、塩タンメン」
昔からここの店主と実琴は仲がいい。 私も仲良しだが、実琴には負ける。 意外にも痩せ型な店主は常連以外にはあまり笑わない変わってる人物だ。その変わり様が実琴と似てるのかもしれない
「でもタンメン一杯に1876円は高くない?」
「んー高いっちゃ高いけど、それでバランス取ってるからねえ。じゃなきゃ、ラーメン340円じゃ出せないですよ」
「そっか。なんかお疲れ様ですね、店主さん」
「ありがとです」
二人が会話してる内に、ラーメンは出来上がった。
カウンターの高い部分にラーメンが置かれる
「はい、お待ちです。ラーメン二つ、コーンと葱乗せね」
「ありがとー」
そのラーメンはチャーシューとメンマだけが乗ってるシンプルなラーメンだ。私達はいつもこれに葱とコーンを乗せてる
食べる。 いつも通りの少ししょっぱい味。 コーンの甘さと葱の辛味が良く合う。 チャーシューは相変わらずパサパサしてるけど、旨味はたっぷりだ
「はーっやっぱり美味しいねーしのちゃん」
「うん………」
ゆっくりゆっくり食べようと頑張ったのだが、そう
急には食べ方は変えられない。 普通の速度で食べてしまった
「はーっごちそうさま!」
「ごちそうさまでした」
それから会計で別々にするつもりだったが、先に二人分実琴が払ってしまったので、私は得したのか損したのか分からないが、タダで食べられた。
店を出る時に、二人揃って 「ごちそうさまでした」
と言ったら
「また来てくださいねー」
って店主は思いっきり笑って私達に返すのだった
(おしまい)
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