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「……ふぅん」
あれだけテンションが上がっていたミサキは、不思議とあまり興味が無さそうだった。
「ちょっと確かめてくる」
「……うん」
俺は車を止めると、降りて車の様子を確かめに行く。スマホのフラッシュを付けると、久しぶりに強い明かりを見て目が眩んだ。
「こりゃひどい……」
バンパーもボンネットも完全に破損し、運転席にまでその被害は及んでいた。肝心の運転手の姿が見えない。車がこの状態では無傷では済まないだろう。テールライトが付いていたのだから、ずっと放置されているわけではないはずだった。
生と死の世界を曖昧にする、黄泉平坂。何となく、この車とその持ち主は死の世界に引きずり込まれたのではないかという錯覚に陥った。
「お、まさかお前……XXXか?」
「うわぁっ!」
突然の男の声に俺はまたも悲鳴を上げた。今日は1日悲鳴を上げてばかりいる。
恐る恐るフラッシュを向けた先の男には見覚えがあった。
「あれ、お前……Mか?! 久しぶりだな!」
そこにいたのは、地元の友人であるMだった。ちょうど車の陰になっていて、姿が見えなかったようだ。
「……お、おう、5年ぶりくらいか? どうした、こんなところに」
「それがさぁ……」
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