◆一.

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「うん……? あ、何これ!」  ミサキがすぐに俺の掛けたネックレスに気付く。  本当はもうちょっと走った先、それこそ市内に入って休憩したあたりでのサプライズを考えていた。  昨日、村の中を歩いていた時に目を付けたネックレスだった。ミサキが普段付けているビーズのものに似ている、と思って選んだ。サプライズの瞬間は、気に入ってもらえるかいつもドキドキする。 「今回のお礼だよ。土日潰して、両親に会いに来てくれてありがとう」 「びっくりしたよー! かわいい、ありがとう!」  差していた影はなりを潜め、ミサキの顔に笑顔が広がった。 「なんでも魔除けの効果もあるらしいぞ。山を抜ける間つけておきなよ」 「ううん、抜ける間じゃなくてずっとつけておくよ。ありがとう、XXX」  ――ネックレスをプレゼントして暫くは燥いでいたミサキも、単調な山道と義実家滞在の疲れからだろう、沈黙に入っていた。  寝息こそ聞こえないが、夢の世界を楽しんでいるに違いない。俺も安心して急カーブに対してハンドルをさばき続ける。  それは、ちょうど峠に差し掛かろうというタイミングだったと思う。 「あ、XXX! 止まって!」 「おわっ!」     
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