三者会談

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「……それに加えてロジナ候国は昨年リステバルスの内戦に介入して新たな領土を得た、リステバルス王国はラインラント連邦とロジナ候国に領土を割譲したが連邦に統治機能は無いので連邦が得た領土は信託を受けたロジナ候国が信託統治領として運営している、割譲された領土は実質的にはロジナ候国が丸取り状態となっている」 「割譲されたザールブルク地方とポルメルス地方は鋼玉と川真珠が豊富に産出すると同時に土地の肥えた穀倉地域でもありますわ、ロジナ候国の発言力強化に大きく寄与した事でしょう」 ミリアリアの説明を聞いていたアイリーンは皮肉っぽい笑みとともに呟き、ミランダは渋面で頷いた後に言葉を続ける。 「実際この結果によって残る人族の候国でロジナ候国とは対立する事が多いノルトラント候国においてさえ親ロジナ候国派の台頭が著しい状況になっており余談を許さぬ状況となっています、皇帝選出権を持たぬ五候国でも人族のヴァンブルク候国が露骨にロジナ候国に接近しつつある状況です」 「ラインラント皇帝は何してるの?幾らなんでも勝手な事を許し過ぎじゃない?」 ミランダの告げるロジナ候国の隆盛ぶりを聞いていたアイリスは怪訝そうな面持ちになりながら疑問を呈し、それを聞いたミリアリアは溜め息をついた後に口を開く。 「現在のラインラント皇帝テウドシオス3世は12年前にロジナ候国等の支援を受けて選出された皇帝だ、敬虔と言うより狂信に近い程の十字(クルス)教教徒で十字教関係の施策には非常に熱心に取り組んでいるが領土経営についてはロジナ候国等に任せっきりの状態だ、十字教は熱心に教徒獲得を行う一方で異教徒排斥にも非常に熱心に取り組んでいる、同じく十字教を国教とするロジナ候国に取っては組み易く、操り易い皇帝になるな、一応連邦構成国には自由信教が認められてはいるが昨今は十字教の絶対国教化すら噂されている状況だ、少なくとも十字教を信教していないノルティック候国、ルフトラント候国、そして我がヴァイスブルク伯国への侵攻に対して皇帝は何もしてくれなかった」 「因みにリステバルス皇国も十字教を信教してはいませんでした、そして伝聞なのですがロジナ候国に割譲された地域では半強制的な十字教への改宗が行われているそうです」 ミリアリアに続きアイリーンが渋い表情で情勢の説明を続け、それを受けたアイリスは呆れた表情と共に口を開く。
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