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ミリアリアの声を受けたアイリスは頷きながら生き残りの存在を告げ、その言葉を受けたミランダが弾んだ声をあげる中言葉を続ける。
「この位置からだとラステンブルク伯国までは数日かかるわ、使い魔達を彼女達に張り付かせているから明日にでも救出しましょう、それよりも対処すべきはこちらよ」
アイリスの更なる言葉に応じる様に地図上に光点を追いかける赤い矢印が表示され、それを目にしたクラリスが険しい表情で口を開く。
「これは、追手!?」
「ええ、軽装歩兵に魔導兵、軽騎兵が加わった中隊規模の部隊よ、逃げてるエルフの1人が怪我をしてるみたいで動きが遅いの、このままじゃ追い付かれるわ」
「どうなさるのですか?」
アイリスの説明を聞いたアイリーンは焦燥の表情で問いかけ、アイリスは事も無げな表情でそれに応じる。
「連中は相も変わらず魔狼を使って追跡を行ってるわ、彼女達を追跡していた魔狼は使い魔を通じて既にテイムしたからそいつらを使って連中の進路を徐々にこのダンジョンに誘導させるわ、ダンジョン前に逃亡者の痕跡を偽装しとけば連中はこのダンジョンに釘付けになる筈よ、その間に彼女達を救出しダンジョンで消耗した連中を潰すわ、指揮官クラスは出来たら捕虜にして訊問するつもりよ」
「……じ、訊問、ですか」
「……あ、アイリーン様は御覧にならない方が宜しいですね」
「……その方が良いと思います、正直私も立ち会いは遠慮したいですから」
アイリスから出た訊問と言う言葉を受けたアイリーン、クラリス、ミランダの3人はこれまでのアイリスの行動や言動を思い起こして顔を引きつらせかけながら呟き、その様子を目にしたミリアリアは思わず苦笑を浮かべた。
魔王アイリスは救出した騎士団長や狐人族の皇女と会談して現在の情勢の収集に努めた。その際にヴァイスブルク伯国の友好国ラステンブルク伯国に対する不審情報が確認されたアイリスはラステンブルク伯国に逃亡していたヴァイスブルク伯国の残党の救出と彼女達を追跡するロジナ候国の残党狩部隊の殲滅を決意し、異形のダンジョンは新たな獲物を迎え入れる事となった……
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