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鳴上は手早く服を着ると、あぐらをかいて丁寧に包装を剥がしていく。急に汗が引いていくのを感じて、リックも急いで服を身につける。
灯りがつけられると、まぶしさに耐えられなくて、きつく目を閉じていた。
「へえ。この手袋、外は革でも、内側はやわらかくなってる。いいね、これ。結構したでしょ。どうも、ありがとう」
アルバイト代をコツコツためて、この日のために取っておいたものだ。
手にはめてみて、角度を変えながら眺める鳴上の姿を見ているだけで、リックの口もとは自然とほころんでいた。
「すごくシャレたチョイスだな。リックが俺のために選んでくれたんだ」
「いえ、あの」
「どうかした?」
「ぼく、翡翠さんのこと全然わかってなくて、なにをプレゼントしたらいいかもわからなくて。実は、蓬莱さんに一緒に選んでもらったんです」
「いいんだよ。俺のこと考えて選んでくれたっていう気持ちが嬉しいんだから」
「ぼくのほうこそ、翡翠さんに喜んでもらえてよかったです」
チョコレートを選ばなくて正解だった、とひそかに胸をなで下ろす。
「で、リックはいつのまに、蓬莱くんと仲良くなってたんだ?」
手袋を脱いで紙袋に戻しつつ、鳴上は笑いながら尋ねてくる。
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