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1 憧れ
「加瀬、ちょっと後で聞きたいことあるんだけど、いい?」
「あぁ、はい。外の方がいい話ですか?」
「うぅん、まぁそうだな。今日は奢るから。仕事終わりに、あのイタリアンで待ってて」
「分かりました」
私の好きな花村さんは、ついにあのことを知ったのだろうと思いました。
その確認をしたいが為に、私を食事に誘っているのです。
ズキンと痛む胸を見て見ぬ振りをしているのは、何よりも自分の為。
もしも彼があの人に告白をしてフラれるようなことがあれば、僅かでも私に……という淡い淡い期待の為。
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