宝田《たからだ》海《うみ》編

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今日の店内はいつもと違う。 カウンターの上は料理をずらっと並べ 椅子はすべて壁沿いに並べた。 テーブル席も2つをくっつけ そっちは真ん中に置いて 料理を盛った取り皿やコップ置き場に。 陸はカウンターの端っこで 家から持ってきたタコ焼き機を稼働中。 冷凍していたタコの頭のぶつ切りで さっきからずっとタコ焼きを焼いている。 「りっちゃん、焼けた分を頂戴」 「ほい。まだまだ焼けるぞ」 1皿分がだいぶ山盛りになってきたのを見て 海は新たなお皿と取り換え厨房に戻った。 「ユアちゃん、冷蔵庫からチーズ取って」 「チーズ?ピザ用のでいいの?」 「うん。後は牛乳もお願い」 海は小鍋の中に牛乳とチーズを入れ ガスに火を点けるとチーズを溶かし コショウとニンニクで味をつけてから 片栗粉でとろみをつけた。 「チーズフォンデュ?」 「要は同じものだね。 ただこれはトッピング用」 「あっ!タコ焼きの上からかけるんだ」 トローンとゆっくりと鍋肌からチーズが落ち タコ焼きの上をチーズが覆って行く様を見て 優愛だけでなく空も歓声を上げた。
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