時東《ときとう》飛羽《とわ》編

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「じゃあこの電話を切らないで行きますよ。 襲われそうになったら叫びますからね」 電話する課長の後ろで奥さんが待ってるんだ。 仕方がないから言うことを聞いてあげよう。 『間違っても襲われねえよ』 「・・・・・・・」 課長夫婦のために骨を折ってあげてんのに 悪態をつかれた。 別れちまえ!と心の中で呪いながら 自分の部屋を出てお隣のドアの前に立ち 「曽根さーん!起きてますかぁ?」 『・・・・・・・・』 トントンとノックをしながら声をかけるが 中は無音。 「課長。いませんよ。 仕事が終わったからお出かけですよ。 きっと飲みに行った・・・」 『ちょっとフロンに行って スペアキーで開けてもらえ』 「えー!面倒くさーい」 『倒れてたらどうすんだっ!』 「クッソ・・・・ 朝起きてから骨は拾ってやればいいのに・・」 『もう一度ノックしてみろ!』 「曽根さーん!曽根さん、生きてますかぁー」 ドアをぶち壊す勢いでドンドンと叩きながら 大声で叫んでやった。
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