時東《ときとう》飛羽《とわ》編

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曽根さんも奥さんの叫びは聞こえたはず。 でも何も聞こえなかって体で話しを続けてる。 大人だねぇ。 飛羽だったら不満を言うか揶揄うか。 どっちかだっただろう。 剥がした絆創膏を丸めてゴミ箱へ落すと 傷口にティッシュを押し当て水滴を拭き 新しい絆創膏を貼った。 弾が身体に打ち込まれなくてよかったが 弾がかすっただけでも痛そうだ。 無造作に束ねられた少し汚れた包帯が 風呂場の前に落ちてる。 包帯を外しながら風呂に向かったんだ。 部屋の中を見ているだけで この人の行動が逐一推測できちゃう。 包帯を取りに行こうと立ち上がると 通話中の曽根さんに手をつかまれたが 「っつ・・・・」 「バカですね。 なにけがしてる方の手を使ってんですか」 「・・・・・・うっせ」 小バカにしたら不貞腐れた。
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