時東《ときとう》飛羽《とわ》編

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兄貴の部屋の中に入ると いつも兄貴が着てた服がキレイに畳まれてある。 手に持つと兄貴のニオイがするはずなのに 柊理のニオイを感じられた。 「独りに・・・・なっちゃった」 ポツンと零した声と共に 大きな粒の涙が1つ兄貴の服の上で滲んだ。 いつかは出て行くと覚悟をしていたけど まさか、今だったとは。 飛羽が出張から戻って来るまでは 絶対にいると思っていたから 誰もいない現実に一気に飛羽を寂寥感が襲った。 「兄貴・・・・・」 こんな時は兄貴でもいてくれれば・・・ その兄貴もいないんだと気が付いたら 余計に切なく、淋しくなった。 「兄貴・・・・ なんで・・・・なんで死んだんだよ・・・・ 私が独り、独りに・・・」 「お前は独りっきりじゃないよ」 「っ!!」
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