時東《ときとう》飛羽《とわ》編

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膝立ちで柊理の首に抱き着く飛羽を ふわっと持ち上げて 胡坐をかいた自分の足を跨がせて座らせる。 柊理の胸に顔を埋めて グズグズと子供のように泣く飛羽を 「なに泣いてんだ。 俺がいないと思ったのか?」 優しく背中をさすりながら あやすように話しかけてくる。 声が出なくて無言で肯く飛羽に 柊理は耳元に口を近づけ 「大丈夫だよ。ここにいる。 飛羽が出て行けって言ったってここにいるよ」 嬉しい言葉を聞かせてくれた。 ぞわっと何かが背中を這いずって行った。 途端に恥ずかしさが襲って来た飛羽は 一気に顔が熱くなる。 それでも一度流れ出した涙が止まらない。 しゃくりも自分では納められずに 自然とグズグズと泣き続けている飛羽は 「どこ・・・・・行ってた、の?」 ヒックヒック言いながら柊理に訊いた。
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