時東《ときとう》飛羽《とわ》編

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訊かない方がいいんじゃないか? どうせ彼女の家だって答えるんだぞ。 頭の中ではもう一人の自分が イジワルく話しかけて来るが 訊かずにはいられなかった。 「2件先のタバコ屋だった婆さんち。 昨日餃子を食べてもらおうと訊ねてったらさ 廊下で倒れてるのを見つけてよぉ」 「・・・・・・・・」 返ってきた答えが予想と違っていた。 タバコ屋?婆さん? たしかに飛羽の家の隣の隣には 昔はタバコ屋さんがあった。 旦那さんが亡くなって 子供も近寄らないからひとりっきりで暮らしてて 兄貴もたまに様子を見に行ったりしていた。 「どうにもギックリ腰みたいでさ、 昨日は様子見で寝てるって言ってたから 今朝様子を見に行って病院連れてってた」 「婆ちゃん・・・・・ギックリ、腰?」 あの婆ちゃん、2年位前にも一度 ギックリ腰をやった覚えがある。
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