時東《ときとう》飛羽《とわ》編

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「整形外科が混んでたのとよ 診察と治療に時間がかかっちゃって。 終わったのがさっきだよ」 「お婆ちゃんは?」 「家に置いて来た。 あとで夕飯を運んでやることになってんだ」 「・・・・・・・」 彼女のところに帰ったんじゃなかった。 あの人、ずっと 柊理を待ってるような口ぶりだったけど。 柊理は戻らないのだろうか。 無言のまま柊理を見ていた飛羽は いつの間にか涙が止まった。 しゃくりも収まって呼吸も楽になってる。 「泣き止んだな?」 「・・・・・・・うん」 柊理に言われて自分でも気が付いた。 彼女と一緒じゃなかったと知ったら なんだかホッとして来ちゃった。 「私も婆ちゃんのお見舞いに行く!」 「ああ。メシの仕度をしちゃうから お前は先に風呂入ってさっぱりしちゃえ」 もういつもの飛羽に戻れたら 柊理もホッとするように笑った。
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