時東《ときとう》飛羽《とわ》編

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飛羽がお風呂から上がってくると すっかりと食事の準備が整っている。 「すごい・・・・ 柊理って料理関係の仕事をしてたの?」 今更ながら、柊理の前職を訊いてみた。 「そうだよ。お袋が再婚した相手がさ あちこちにレストランを持ってる実業家で。 その一つのレストランでシェフしてた」 「・・・・・・・・」 想像よりもすごかった。 兄貴はしがない餃子専門店の料理人で 柊理はおそらく有名どころの店のシェフ。 「いいの?そんなところを辞めちゃって」 「いいんだよ。最初っから日本に戻って こっちで生活をするつもりでいたんだ。 向こうで働いていたのは金を稼ぐため」 「・・・・・・・・・」 彼女のために向こうにいたんじゃないの? 弱虫な飛羽は柊理に訊けず。 訊きたくない情報は敢えて訊くことはない。 無理やり理由をこじつけて訊かずに済ませた。
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