時東《ときとう》飛羽《とわ》編

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自分たちの食事よりも先に タバコ屋のズミ婆の家に向かった。 「ズミ婆ぁー!起きてるー?」 「お邪魔するよぉ」 勝手知ったるご近所さん。 昔ながらのお宅の玄関を開けると 「上がっといでぇー」 部屋の中からズミ婆の弱った声が聞こえた。 リビングと襖で遮られた隣室がズミ婆の寝室。 ベッドの中でうつぶせで横たわっていたが 顔をこちらに向けてテレビを観ていた。 「よお飛羽。柊理もさっきはありがとなぁ」 「ただいまズミ婆。 またぎっくり腰やっちゃったって?」 柊理はズミ婆に軽く手を挙げて応えたあと キッチンに向かって行った。 飛羽はズミ婆の寝ているベッドに近寄って ズレたかけ布団をかけ直した。
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