時東《ときとう》飛羽《とわ》編

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それでも明かりをつけることは遠慮をして 月明りを頼りにトイレの中に入った。 中に入れば会話までバッチリと聞き取れる。 声の感じは若者でもないような・・・ だったら誰だろう。 近所で夜遊びする年寄りも思いつかない。 考えあぐねているうちに 外の2人の会話の核心が聞こえちゃった。 「いつまでここにいるのよ」 「まだいるつもりだ」 「早く帰って来てよ」 「ここから離れることはできないよ」 「どうして?みんな待ってるのよ」 「俺がいなくなれば飛羽が独りになる」 「いいじゃないのよ!」 「いいわけないだろ?」 「なんで?パパたちは待ってるのよ」 「それは・・・・」 「早く私たちが結婚してくれるのを・・」 会話を全部聞いていられず 飛羽は黙ってトイレから飛び出した。
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