時東《ときとう》飛羽《とわ》編

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音も気にせずに階段を駆け上がり 自分の部屋を通り過ぎ兄貴の部屋を開けると 「・・・・・・・・いない」 そこはだれもいなかった。 今、聞いていた男女の声は 男は柊理、女が・・・・・あの外人の女の声だ。 飛羽の名前も出て来てた。 そして・・・・・ やはりあの外人が柊理の彼女。 親同士も認め合い結婚の話も決まってる。 柊理は兄貴の忘れ形見の飛羽を心配して 結婚に踏み切れないんだ。 誰もいない兄貴の部屋のベッドを見て また涙が込み上げて来た。 うっ・・・・うっ・・・・。 声も堪え切れず、泣きながら自分の部屋に戻った。 独りになりたくないからって 柊理に助けを求めちゃダメだったんだ。 差し出されたから その手をつかんだだけ。 飛羽がそう言ったって 彼女としては不満なのは当然だ。 「独りぼっちか・・・・・」 自分でつぶやいて 涙がもっと溢れ落ちて頬を流れて行った。
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