時東《ときとう》飛羽《とわ》編

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「飛羽ぁー!起きろー」 階下で柊理が叫んでる。 その前から起きてはいたけど 顔を合わせるのが嫌で寝たふりをしていた。 でもそろそろ起きなくては。 まだ今日は平日。普通に会社がある。 出張に行ってる間 課長がひとりで頑張ってたんだ。 今日は休むことはできない。 ゆっくりとベッドから下りてから クローゼットの中のスーツを取り出し もたもたしながら着替えた。 「飛羽!・・・・起きてたんだ」 「うん」 我慢できずに部屋に飛び込んできた柊理は スーツに着替えた飛羽を見て驚いていた。 「メシ、早く食べないと遅れるぞ」 「今日は・・・・ご飯はいいや」 「え?」 「ゴメン。時間がないから行くね」 棚の上に並べていた化粧道具を 無造作にバッグの中に突っ込んで 飛羽は化粧もせず 顔さえ洗わずに部屋を飛び出した。
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