時東《ときとう》飛羽《とわ》編

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注文した料理が来たことで ホテル暮らし話も打ち切られた。 お互い、食事に専念していたけど 松子が思い出した風に声を上げた。 「そう言えばさっ! あんた曽根さんと一緒に出張だったんでしょ?」 「曽根さん?ああ、そうだよ」 一瞬曽根さんて誰だっけってなった。 飛羽の頭の中に柊理が増殖中で 曽根さんなんて除外されてたらしい。 「いいわよねぇ。 あんたが出張に行った日の更衣室の中 もの凄いバッシングの嵐だったわよ」 「バッシングって私の? だって私は仕事で出かけたんだよ」 「それでもよぉ。 自分だって秘書室で働きたいし できたら一緒に出張に行きたいって思うもの」 「バカらし。羨ましくもなんともなかったよ」 「なに?なにもなかった?」 「あるわけないでしょ。 あ、でもお土産代はあの人が払った。 秘書室に置いてあるから食べにおいで」 そうだ。お土産代は奢らせる気でいたけど 飛羽が言う前に自分で払ってたっけ。
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