時東《ときとう》飛羽《とわ》編

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「あれ?ズミ婆んところに行くの?」 「ああ。先に食事を渡してくる。 お前も行くか?」 「う、ううん。行かない」 出迎えに来たのかと思ったら ズミ婆の夕ご飯を配達するところだった。 昨日までの飛羽だったら 自分も行きたいと一緒に行っただろうけど 今は柊理とは一緒にいたくはない。 自分の気持ちに気が付いちゃったら 一緒にいるのがもの凄く苦痛になる。 叶う可能性がある恋だったら 自分の恋心を育んであげたいけど 結婚することも決まってるって聞いちゃったら 気持ちが加速しないように蹴散らせないと。 「そうか? じゃあ俺、ちょっと行って来るから。 先に風呂でも入って・・」 「お腹が空いちゃったから先に食べる。 いいよ。行って来て」 「・・・・・・・・」 飛羽は柊理の返事を聞く前に玄関を離れた。
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