時東《ときとう》飛羽《とわ》編

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飛羽が不機嫌になったのが伝わったのか 「じゃあ行くな」と言い残し去って行った。 ふぅー・・・ 独りっきりになって息を吐き出した。 心配させてしまったと 申し訳ない気持ちにもなる。 ウソをついたことで 自分でも息苦しさを感じるが これからはウソを付き通さなければならない。 柊理なんて好きじゃない。 柊理は兄貴の代り。 飛羽は独りでも大丈夫。 ウソを貫き通して 柊理を彼女に返さないと・・・ 店も再建は諦めるんだ。 父さんと兄貴には申し訳ないけど 兄貴の代で店も終わりにさせてもらおう。 柊理なんて嫌いだ。 柊理なんて出て行け。 柊理なんて・・・・・ 暗示をかけるようにウソを吐き続けると 今夜もまた涙が込み上げて止まらなくなった。
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