時東《ときとう》飛羽《とわ》編

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「下痢ではないけど ちょっと体調が悪いだけです」 驚いた。 この部屋に入ってまだ数分なのに。 すぐにわかるほどなのか? 自分では気が付かなかった。 「まあな、慣れない出張だったし。 だけどお前もこの先秘書を続けるなら こんな事は慣れておけよ」 「そうですね。 また曽根さんが拳銃で撃たれるかもだし。 今度は死んじゃう可能性もありますものね」 言われるだけで終わる飛羽ではない。 しっかりと反抗してやった。 「ふふん、言うじゃねえか。 ってか俺もそう何度も撃たれたくねえよ」 鼻で笑ったけど不満も返された。 拳銃で襲われることも撃たれることも 人生の中で滅多にない。 「貴重な体験しちゃいましたね。 老後に自叙伝が書けるじゃないですか」 「俺に文才があると思うか?」 「あると思いますよ。 曽根さん自分のことを好きそうですもの」 ポンポンと言い返していると 徐々に自分でも調子が戻って来た感覚がある。
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