時東《ときとう》飛羽《とわ》編

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仕事終わりに待ち合わせの駅で待ってると 高いヒールでも怯まず駆けて来る満里恵が見えた。 「ごめーん。遅くなった」 「ううん。急に呼び出してごめんね」 週末金曜日。 まっすぐに家に帰るのが嫌で 飛羽は満里恵を食事に誘った。 2つ返事で約束を取り付けると すぐに柊理にメッセージを送った。 <今夜は食べて帰るから> たったこれだけ。 誰とともどこでとも書いてない。 飛羽にも男友達がいるって思わせたくて だから敢えて書かなかった。 「何かあった?」 「え?」 駅から店へと移動中 隣を歩く満里恵に顔を覗き込まれた。 「どうして?」 「私が気が付かないと思ってる?」 「・・・・・・思ってない」 曲がりなりにも幼馴染の関係。 飛羽が満里恵の不審な様子を見抜ければ 満里恵もまた同じなようだ。
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