時東《ときとう》飛羽《とわ》編

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そうだ。 もう1つ飛羽は思い出した。 ガタッと音を出してイスを引き 立ち上がった飛羽は 「柊理、まだ時間は大丈夫? 最後に兄貴が仕込んでいた餃子があるんだ。 帰る前に食べて行ってよ」 話しかけながら厨房に向かおうと廊下に出ると 柊理もイスから立ち上がった。 「餃子か・・・。懐かしいな」 顔だけ振り返ると 柊理は頬を緩めてあとをついて来る。 「これが本当の最後になると思うんだ。 店は・・続けて行けないだろうから。 閉めることになると思う」 前を歩く飛羽は 柊理に顔を見られなくてよかった。 店を閉めると口に出すのは苦痛だ。 父が、兄が どんな想いで店を続けて来たのか。 関わらない生活だった飛羽にも 見て来たから必死だったことも知ってる。 大事な店をたたむことを おそらく、もの凄く残念に思ってるだろうな。と 心情を(おもんばか)ると切なかった。
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