時東《ときとう》飛羽《とわ》編

162/313
前へ
/1668ページ
次へ
「満里恵は柊理のこと覚えてた?」 「私?ううん、覚えてない。 だって私の場合は接点がなかったはずだもん」 「そうか・・・」 飛羽とは兄貴を介しての付き合いがあったし 父が柊理を可愛がっていたから接点があった。 7歳も年が離れていると 学校が被ることもない事で 近所にいるお兄さんで知ってるくらいか。 「店を再び開けることも諦めさせて 家からも追い出さなきゃとは思ってるんだけどさ」 「できないんでしょ?」 「・・・・・・うん」 満里恵だって柊理の彼女の気持ちが 痛いほどよくわかるから飛羽を嗾けてこない。 彼女の立場からしたら 今の彼氏の環境が気に入らないのもわかってる。 彼氏がいない飛羽にだってわかるもん。 満里恵の苦しむ姿を見て来たから。 だから奪おうなんて気持ちもない。 返さなきゃと思ってはいるんだけど 「やっぱり独りになりたくなくって・・・」 それで柊理を手放せないでいた。
/1668ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1967人が本棚に入れています
本棚に追加