時東《ときとう》飛羽《とわ》編

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フライパンの前でフライ返しを持つ飛羽は 瞬きも許さないくらいに真剣な顔をして フツフツと穴が開き出したパンケーキを見た。 「まだ?」 「んー、もうちょっとかな? 満遍なく穴が開いて乾いてきたらいいよ」 ん、と適当に返事をした飛羽は 瞬間を見逃すまいと目を逸らさない。 「今だ!」 「あはは。朝からうるせえな」 叫びながらホットケーキをひっくり返すと キレイな焼き色が付いた。 「うわっ!キレイ!すごい上手じゃない?」 「ハイハイ。お上手に出来ましたよ」 飛羽が楽しそうにパンケーキを焼いてると 柊理も嬉しそうに見てくれてる。 その目は妹を見る感覚だろうが それでもいいや。 妹として柊理に接して行こう。 それでこの関係がずっと続くのならいいや。 一緒にパンケーキを焼きながら 飛羽は何かが吹っ切れたようだ。
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