時東《ときとう》飛羽《とわ》編

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食べ終わって箸を置くのを見やり 心の中でガックリと項垂れた。 知らずに身体中に力を入れていたようで 緊張が解けると身体の強張りも緩んだ。 気が付かれないようにそっと ふぅーと細く息を吐き出していると 「うん。おっちゃんの味と同じだな」 「・・・・・・へ?あ、・・・ああ、そうだね」 欲しかった評価を貰った時には拍子抜け。 今ごろかよ、飛羽は心の中で突っ込んだ。 「ここ、本当に店を閉めるのか?」 「仕方がないから閉めるよ。 私も会社勤めをしているし、 味を引き継ぐ自信もないからね」 食べ終わったお皿や小皿を下げようと 柊理の後ろに回り込む飛羽に 「俺が、ここを継いでもいいか?」 「・・・・・・・・」 テーブルに伸ばした飛羽の手が止まった。
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