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満里恵は手を伸ばして
ロウソクで新しいお線香に火を点けた。
「兄貴もあっさりと逝っちゃってさ。
もう飛羽しか残ってないじゃん」
恨み節を正面の棚の天辺に飾られた
飛羽の兄貴の写真にぶちまけた。
「まさか兄貴が逝くとはね。
まだ30代だったのに・・・」
飛羽も祭壇の一番上の兄貴を見つめた。
白黒の写真の中の兄貴は
子供のころから飛羽が好きだった笑顔で
こちらを見ている。
飛羽が最後に兄貴を見たときは
元気のない落ち込んだ表情だった。
最期の兄貴は顔に傷をつけて
真っ青な顔色をして目をつぶっていた。
「交通事故か・・・。
私らも、事故には気をつけようね」
「そうだね・・・」
兄貴もどんなに気を付けていたって
貰い事故には気をつけようがなかっただろう。
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