時東《ときとう》飛羽《とわ》編

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店を継ぐ継がないの前に 今の店の経営状態では存続も危うい。 兄貴が死ぬ間際まで悩んでいたのは 父が始めた餃子専門店をやめて ラーメンや炒飯も始めようかってこと。 決断する前に逝っちゃったけど もし決断していたとしても はたして店の経営が盛り返せたかどうか。 飛羽が住む街の飲食店も 高齢と後継問題で次々と店を閉めた。 中には商業施設を経営する大手の傘下に入って こじんまりと営業している店もいる。 たとえ柊理が餃子の味を習得して 店を再開させたとしても 利益を出して給料を払うまで儲からないと思う。 なら、最初っから 店を閉店させた方が未練も断ち切れる。 だけど・・・・ 「粉の練りはこんなもんでいいはずなんだ。 もうずーっと前の記憶だけど おっちゃんが捏ねてた生地がこんなもんだし」 柊理はご飯を食べ終わってから また材料をテーブルの上に並べて 餃子の皮作りを始めている。 最後通告は言いにくかった。
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