時東《ときとう》飛羽《とわ》編

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2種類の粉を熱湯で捏ねた生地を 常温で寝かせたあと 「こ、この伸ばしがムズイんだよなぁ・・・」 短いめん棒を不器用に操って 小分けした生地を丸く伸ばすのに 柊理は難儀している。 「素人が最初っからは無理だよ。 ちょっと待ってて」 柊理の作る工程を見ていた飛羽も とうとう黙って見てられなくなっちゃった。 キッチンを出て行き厨房に入ると 棚の引き出しから下敷きに似た 塩ビ板と呼ばれるプラスチックを取り出した。 「それって・・・・見た覚えがある」 「でしょ?私が皮作りをするときの必需品。 兄貴や父さんみたいにキレイに丸くならないし 厚みも均等じゃなかったからね」 下敷きを縦半分くらいに切ったサイズで 餃子の皮に適した丸が3つくり抜かれている。 伸ばした皮の上にこの板を乗せて ナイフでくり抜くのが飛羽のやり方だった。
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