時東《ときとう》飛羽《とわ》編

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まったくの静寂。 無が街を飲みこんでいる。 丑三つ時。 都会の午前2時から3時では 街は眠らないだろうけど ここら辺はすべてが寝に入っていた。 真っ暗な玄関に立った柊理は 今朝渡された鍵を使って玄関を入ると 2階へと視線を向けた。 「起きてねえな・・・」 古い玄関扉だから 開ける時に結構音が響いてしまい 肝を冷やしたが・・・ 2階は起きた様子はなかった。 つま先だけで階段を上がって行くのに ぎしっぎしっと板が鳴ってしまう。 大丈夫だ。 アイツは一度寝たら起きない。 ちょっとやそっとの騒音では屁でもない。 飛羽の部屋の前に立つと 扉に耳を押し当てた。 よし。寝てる。 アイツの寝息を耳に入れ 安心して隣の飛鳥の部屋の扉を開けた。
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