時東《ときとう》飛羽《とわ》編

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お昼休みになった。 「飛羽ー。行けるぅ?」 「行ける行ける。 課長!お昼に行ってきまーす」 行ってらっしゃーいの返事をもらって 迎えに来てくれた同期の 竹田松子と一緒に部署を出た。 「どう?落ち着いた?」 と訊いて来た時、松子は 社食の日替わりの定食をテーブルに置いた。 「落ち着いたのかな? 独りだから好きな時に動けるけど 独りだとも言い切れなくってさ・・・」 「・・・・・・はい?」 濁して話すと不思議がられた。 そりゃそうだろう。 唯一の家族の兄貴が亡くなれば 飛羽は独りになるのは松子も知ってること。 だけど独りじゃないって聞かされれば 意味がわからないだろう。 私が松子だったらちゃんと話せって 怒ってるかもだな。 松子は懐が深いねぇ。
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