時東《ときとう》飛羽《とわ》編

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「中学入る前に引っ越してった 兄貴の親友がうちに入り込んでんだ」 食事を進めながら 飛羽は柊理のことを松子に話した。 土曜日と日曜日も追い出したって 鍵を取り返していないから 寝ている間に戻ってきちゃう。 お子様体質の飛羽は 一度寝ちゃうと滅多に起きない。 ちょっとやそっとじゃ起きないのは 家族だけじゃなく柊理も知ってること。 だから鍵を返さないでいれば 戻って来られると堂々と追い出されてるんだ。 だったら起きて待っていれば? 無理やり鍵を取り返せば? 松子からの質問に口ごもった。 どんなに遅くまで起きてようと思っても 柊理が作った夕ご飯をたらふく食べちゃうと 自然と眠気に襲われちゃって、無理。 鍵も奴の目を盗んで探したんだけど どこにも見つからない。 肌身離さず持ってるんだと思う。
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