時東《ときとう》飛羽《とわ》編

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これから残業に入る課長を置いて 定時で仕事を終えた飛羽は部署を出た。 まだ帰社していないそれぞれの秘書たちが 業務報告を訊いてからじゃないと 課長は帰宅ができない。 制服の無い飛羽は まっすぐに1階まで階段を駆け下りた。 重役室専用のエレベーターがあるが それは非常時以外は使えない。 若い飛羽は階段を使うことが義務付けられてる。 「お疲れ様でしたー」 「お疲れ、飛羽。 まっすぐに帰るの?」 挨拶をした相手は受付嬢の(ゆかり)さん。 飛羽が働く柳葉建設の受付嬢は 交代で定時よりも1時間余計に仕事をしている。 今日の当番は飛羽よりも年上で 仲良くさせてもらってる縁さんのようだ。 「まっすぐ帰ります。 お腹が空きましたから」 「はは!お子ちゃまぁー! じゃあねー、気を付けて帰るんだよ」 飛羽を可愛がってくれる縁さんは 揶揄うように飛羽を見送ってくれた。
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