時東《ときとう》飛羽《とわ》編

81/313
前へ
/1668ページ
次へ
「さて、これで準備は終わったな。 そう言えば私がいない間柊理はどうすんの?」 「どうすんのって?」 いつの間にか家の家事全般が 柊理の担当になった。 今は乾いた洗濯物を畳んでいる。 「私はここにいないんだから その間だけでも・・・戻れば?」 どこに、とは敢えて口にしなかった。 両親が住むアメリカとも取れるし こっちで彼女が泊る部屋とも取れる。 どう解釈するのかは柊理に任せて言うと 「どこにも行かないよ」 と、ほぼ想像通りの答えを聞かされた。 「なんで?」 「まだ四十九日も終わってないのに 誰もいなくなって線香もあげてもらえないのは 飛鳥が可哀想だろ?」 「あ・・・・そっか」 海外に出張に行けるのがうれしくて 兄貴のことをすっかりと忘れてた。 すまん、兄貴!
/1668ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1966人が本棚に入れています
本棚に追加