時東《ときとう》飛羽《とわ》編

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「バカたれ」 「痛っ!もうー、行ってくる」 「もう忘れ物はないな? もう一度たしか・・・」 「もう大丈夫!間に合わない!」 心配する柊理を置いたまま 飛羽は駅に向かって走った。 頑張れよぉー!と 後ろから大声で叫ばれて 了解(りょうかーい)と振り向かずに手を振って応えた。 慣れない海外出張と言うことで 柊理が選んだ靴はヒールの高くないパンプス。 おかげで駅まで猛ダッシュができた。 予定の時間の電車が到着するまで 少しだけ余裕がありそう。 ハァハァと荒い呼吸を整えるために 改札を通る前に端に寄った。 態勢を整えてから中に入ろうと 化粧品会社のポスターに向かって 深呼吸を繰り返していると 「あなたがトワね?」 「・・・・・・・へ?」 ぶっきら棒に声をかけられた。
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