宝田《たからだ》海《うみ》編

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昨日のうちにお節を作り終え 今夜はミツ婆が来たら手渡すつもり。 料理は大皿に盛ってカウンターに置き 自由に取ってもらう形にした。 これだったら何人来ても大丈夫。 人数が増えて料理が減ってしまったら 足せばいいだけにしておいた。 「姉ちゃん、もう焼き鳥焼こうよ」 「まだ早いわよ。 冷たくなっちゃうじゃない」 「空は自分が早く食いたいだけだろ?」 「いいじゃーん。炭だっていい火加減だよ」 「なら自分が食べる分だけ焼きなさい。 多くはダメだよ」 やったー!と万歳をする20歳の弟を見て 海は陸と目を合わせて苦笑した。 きっと来年も空は変わらないだろうな。 今年は彼女が出来たって言うのに まったく変わっていないのだから。
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