時東《ときとう》飛羽《とわ》編

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高級料亭ではなく こういう気兼ねしないで来られるお店だと 却って接待もうまくいくんじゃない? まだ若い飛羽でもそう思った。 出される料理にも手軽に手が伸ばせて みんなでシェアすることで親睦も生まれる。 会話だって仕事のことばかりじゃなく プライベートな事だって話しやすい。 「へえ。時東クンちは餃子専門店か」 「といいましても兄が亡くなりましたので この先のことはまだ決まってませんが」 飛羽たちも仕事を離れて 個人のことを話したりして食事を楽しんだ。 常務はいつも一緒にいる曽根さんではなく 飛羽にずっと話しかけてくる。 まだお話ししたことも数度ほど。 話す機会がなかったから仕方がない。 「常務のご実家も中華屋ですか? やっぱりラーメンは味噌ですよね」 「いや、俺は塩だ」 「えー!豚骨は捨てがたいけど  塩は邪道ですよぉ!曽根さんッ!」 曽根さんとラーメン談議で騒いでいると 常務はお酒を飲みながらフフッと笑ってた。
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