時東《ときとう》飛羽《とわ》編

98/313
前へ
/1668ページ
次へ
当たり前のように支払いは常務。 真っ黒のカードをシュッてCAT(端末)に通し スラスラとご自分でサインする姿、イケてる。 できる男の姿だ。 うちの兄ちゃん、カード持ってたのかな? うっとりと見惚れていると 支払いの終わった常務が戻って来たから 「ゴチになりました!」 「ご馳走さまでした、常務」 曽根さんと一緒にお礼を告げた。 ホテルまで戻る道も、気持ちがいい。 少し飲んだお酒で火照った身体が 海風を受けて冷やされて行く感覚が心地いい。 仕事を終えたからという気持ちで 先頭を飛羽、その後ろを曽根さん 常務はあとからゆっくりとついて来た。 歩道の端の縁石に乗って 危ないと怒られながら歩いていると 「キミらは仲良しだな。 曽根ともだいぶ長い付き合いだが 時東クンと接してるお前は初めて見るよ」 常務が満足そうに肯いていた。
/1668ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1966人が本棚に入れています
本棚に追加