ただただ白い

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「……あれ?」 放課後。 靴箱を開けて靴を取ろうとすると、カサっとてにあたった感触。 「封筒……?」 靴の上あったそれは、白い封筒だった。 マンガとかでよくある、ラブレターが靴箱に入ってるとかそういうあれだろうか。 「でも、これ何も……」 書いていない。 ただ、白い封筒で、差出人も宛名もない。 本当に自分宛なのかもわからない。 でも、あたしのところに入っていたのだから、今この瞬間はあたしのものだと思っていいのだろう。 「何も書いて……」 中を開けて、入っている便箋をみても、白い便箋には、文字を書くようの罫線があるだけで、文字はない。 白い紙に黒い線。 ただ、それだけの紙。 「……あ」 一番右下にすごくすごく小さな文字で 〝好きだ〟と一文。 「……っ」 知ってるこの文字。 「バカ……」 あたしの口から漏れる言葉と、緩む頬。
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