ただただ白い

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「バカ、ちゃんと口で言いなよ!」 あたしの前には、ひとりの男子生徒の後ろ姿。 「許してもらえなかったら嫌じゃん」 振り向いて気まずそうな顔をする彼の胸にあたしは飛びこむ。 「好きだもん、あたしだって負けないくらい好きだもん」 「ごめんね、いつも言葉が足りなくて不安にさせて」 あたしと彼は些細なことで喧嘩をしていた。 付き合って、1年。 この1年、彼から好きなんて言葉1度もきいたことなくて。 それを問いただしても、何も言わない彼に痺れを切らして、しばらく距離を取ってた。 「あたしも、ごめん。そういうの苦手だって分かってるのにどうしても確認したくなっちゃって……」 「いや、苦手とか言ってる場合じゃねーってわかってるんだ。言葉が足りないせいでお前を失うのは嫌だって思った。でも、どうしたらいいかわかんなくて、手紙……」 顔を赤くしながらそういう彼のこと、本当に大好きだって思った。 「これからは、ちゃんとお互い口にしていこうね」 「おう、好きだよ」 「うん。大好き」 もう、こんなことで喧嘩はしない。 お互いの手を取って、誓い合った。
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