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店内に足を踏み入れーー
「……星空の中にいるみたいだ」
紺碧色の空ーー夜空を想わせる幻想的な空間。壁が、壁じゃないみたいだ。
星くずの灯ーー天井からシャラシャラとおしゃれなランプのようなものが、降っている。
三日月のテーブルーー店内の中央に置かれている淡い星くず色の机。
三日月が彫られたアンティーク家具ーー大切に扱われているのが、一目見てわかる。どことなく不思議な雰囲気がただよう。
そしてどこからか声が降ってきた。それはまるで星くずのように。
「よく来たね。迷い星」
きょろきょろ辺りを見渡すが、声の主は見当たらない。
少しだけいらっとしてしまった。ここまで来て、冗談でしたはやめてほしい。馬鹿にしてるのだろうか。
「おい梅月ーー……って、なんでいないんだよ?!」
振り返って文句の一つでも言おうとしたら、その相手はいつの間にかいなくなっていた。
狐につままれた気分だ。
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