春風 第二部完

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　首を左右交互に傾けてから、ベッドに腰掛ける。身体も頭もさらにすっきりとして、清々しい気分だった。多季が言ったように、これを観ながら短時間でも毎日ヨガを続けたら、日々のストレスも疲労も、ぐっと減っていきそうな気がする。
　その一方で、ＤＶＤの多季のあらたまった調子の誘導に、菫は違和感を感じていた。初めてのヨガ体験が生のレッスンだったからこその贅沢であることは認めながら、それでも菫に向けられた優しく穏やかな瞳と、「頑張って」と励ましてくれるあの声が聞こえないことが物足りない。
　ふたたびノートパソコンを開き、ヨガスクールのホームページをチェックする。入会金は不要で、一ヶ月定額コースとチケットコースから好きな方を選べると書いてあった。
「どっちにしろ、結構高いよなあ……」
　そうつぶやきながらも、菫の心はもう決まっていた。ホームページの説明に従ってＷｅｂ会員の登録手続きを進めた後、次の休みに合わせて多季が担当するベーシッククラスを予約した。