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1 入学
「珠子!!同じクラス!!C組――!!」
掲示板に張り出されたクラス分けの紙を見て、幼稚園からずっと一緒の奈緒が跳び上がった。
「やっぱ私と珠子は腐れ縁だね!!」
この中途半端な田舎町にある大桃中学校。
私、岸 珠子と、親友の高橋奈緒は、今日からここの生徒だ。
「こうなったら永遠に一緒だよ。」
「永遠って。大げさだなあ、奈緒は…」
「あ、見て見て。光希も一緒だ。」
奈緒に言われて掲示板を見直すと、隣の小学校だった山本光希の名前があった。
「光希の他にも…知った人結構いるね。安心した。」
掲示板を見上げながら言うと。
「珠子は人見知りするもんね。大丈夫。私がついてるから。」
奈緒は私の腕に絡みつくようにして、そう言った。
ともあれ、私は中学生になった。
この日をとても待ち焦がれていた気がする。
なぜかは分からないけれど。
新しい自分になれる気がしていた。
中学生になったら新しい自分になれる。
とは限らないのに。
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